「おっ!あれは…」
 火影の執務室へと向かう途中、アスマは覚えのある気配に前を向くと、少し離れた所に見慣れた後ろ姿が前を行くのに気が付いた。
 

 
はじまり―2―


 「オイ!アンコじゃねぇか!お前も呼ばれたのか?」
 「アスマ!お前もって事はあんたも?」
 アスマの言葉にアンコは立ち止まり眉を寄せ…
 「…『あの子』のコトで…」
 「…ああ…」
 アンコが一度言葉を句切り、周囲の気配を念入りに探った後に1オクターブ程低く下げた声で囁いたその言葉に、アスマもまた低く落とした声で『それ』を重々しく肯定した…


 「三代目!『あの子』の事で話ってなんですか!?」
 「…オイ!アンコ!少し落ち着け…」
  火影の執務室へ入るなり凄まじい勢いで言ったアンコを、アンコより少し遅れて入ったアスマが嘆息を吐きつつ、呟いて肩を叩いて宥める…


 「…騒々しいのう…今回はあやつが絡んでおるから尚更と言うことか…まったく…頭が痛くなるわい…」
 執務室の外の気配の様子に嘆息を吐きつつ火影はそう言い…
 「…あやつらを呼んだのは失敗だったか…」
 …と呟きを漏らした…

 …だが…後悔しても既に後の祭り…
 …三代目は既にアスマとアンコに伝達していたのだから…
 「『セン』の事で話がある」と…

                                  ―続く―